変形性股関節症とカルシウム
股関節のしくみ
股関節は、大腿骨骨頭(太ももの骨の頭の丸い部分)と骨盤の臼蓋(臼のような受け皿)が接している関節ですが、その接している部分には軟骨組織がクッションの役目をしていて、さらに関節を筋肉が支えています。
股関節痛の原因
痛みの原因としては、変形性股関節症、関節リュウマチ、大腿骨骨頭壊死などがありますが、一番多いのは変形性股関節症と言われています。
変形性股関節症の原因
変形性股関節症は、大腿骨骨頭と臼蓋の軟骨が薄くなったり骨自体がすり減り変形して、神経を圧迫し起こります。特に、大腿骨骨頭の受け皿の臼蓋の発育が悪く、大腿骨の頭を受ける部分が浅い「臼蓋形成不全」の方は、臼蓋の大腿骨骨頭と接する部分が小さいために健康な方に比べ体重の分散ができず、負荷がかかり軟骨や骨がすり減ってしまいます。
変形性股関節症の治療法
治療方法は大きく分けて保存療法と手術療法の2つがあります。
主な保存療法には
①体重が股関節に負担をかけるのを抑える体重減量療法
②プールでの歩行トレーニングなどで太ももの筋肉や股関節の周りの筋肉を鍛える筋力強化法
③股関節を温め、痛みを和らげたり血流を良くする温熱療法
④痛み止めの薬などを使う薬物療法
主な手術療法には
①股関節の骨を切って動かし、股関節にかかる負担を軽くする骨切り手術法
②股関節を形成する骨盤と大腿骨骨頭部分の弱った部分を金属+セラミック製などの人工股関節に置き換える人工股関節置換術
などがあります。いずれの治療法も大切な治療法ですが、現状の弱った股関節自体を元気にして改善しようとするものではありません。このような治療法の中で症状に合った治療を受けながら、弱った股関節を元気にする=骨を元気にすることも併せて取り組みたいものです。
カルシウムと骨との関係
カルシウムは体の中の骨に99%、それ以外の血液や細胞などに1%存在していて、元気な骨を造り体を支えたり、血液や細胞では筋肉の収縮、弛緩、刻々と変化する細胞間の情報伝達ほか生命を維持するためのいろいろな働きをしています。例えば心臓が鼓動を打つのも心臓を動かす筋肉(心筋)の細胞にカルシウムが入ると収縮、出ると弛緩というようにカルシウムは、心臓の鼓動の信号として働いています。(詳しくはカルシウムの働きをご覧下さい)
カルシウム摂取が不足するとカルシウムは生命維持に大切な役目をしている欠かせない栄養素なので、不足を補うためにカルシウムがたくさん存在する骨からカルシウムを溶かし出して使います。しかし、必要以上に溶け出てしまうため、骨は弱り、細胞や血液には過剰に存在するようになります。このようにカルシウムが不足しているにもかかわらず、骨以外のところでは過剰になってしまう現象をカルシウムパラドックス現象と言います。(カルシウムパラドックス現象)
カルシウム摂取不足が続くと、骨からカルシウムが溶け出し続けるので、骨は弱ってしまいます。さらにこの骨から溶け出したカルシウムは、食べ物から摂るカルシウムと性質が違い、いろいろなところに沈着、石灰化を起こす悪玉カルシウムなのです。
股関節周辺の骨に沈着石灰化を起こすと骨の変形を起こす原因になりますし、股関節のクッションである軟骨が硬化、萎縮する原因にもなります。
股関節とカルシウム
カルシウムが不足すると股関節の骨や軟骨でも同じような現象が起こり、
・骨からカルシウムが溶け出し、股関節の骨自体が弱る。
・溶け出したカルシウムが軟骨細胞に入り込み、軟骨が薄く硬化する。(カルシウムが軟骨細胞に過剰に入ると細胞は収縮、硬化します)
・溶け出したカルシウムが骨のかどなどに沈着を起こし変形する。
などを引き起こします。この結果変形性股関節症を引き起こします。もちろんカルシウム不足だけが要因ではありませんが、大きな要因の一つになります。
カルシウム摂取を心がけましょう
不足しがちなカルシウム摂取を心がけ、カルシウムを多く含む小松菜などの黄緑色野菜、ひじきなどの海藻類、ちりめんじゃこなどの小魚類を積極的に摂ることが大切です。しかしなかなか摂れないのが、カルシウムです。ましてや変形性股関節症の人の場合現状がすでに骨が弱っているのですから、食生活でカルシウム補給するだけでは足りません。
北海道八雲町で採掘される風化貝化石を原料にした風化貝カルシウムは、効率よく良質なカルシウムを摂ることができるカルシウム補給食品として注目されています。
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